続・問題解決の基本
昔、知り合いでとても大きな問題を抱えた男がいた。
公益法人の理事をしていて、仕事も順風満帆に見えた彼には、人には言えない悩みがあった。
というのも奥さんが、とある宗教団体に入信してしまって、家を空ける事が多くなったのだという。
しかもそ ...
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昔、知り合いでとても大きな問題を抱えた男がいた。
公益法人の理事をしていて、仕事も順風満帆に見えた彼には、人には言えない悩みがあった。
というのも奥さんが、とある宗教団体に入信してしまって、家を空ける事が多くなったのだという。
しかもそこは、世間からよく思われていない有名な団体で、こともあろうに小学生の娘も連れての入信だったらしい。
夜遅くまで勉強会と称する集まりに参加したり、遠方まで出かけていって各家庭に小冊子を配ったり、その行動は日に日にエスカレートするばかり。
いつか隣近所や仕事先に、自分の家族がその宗教団体の構成員だということがバレるんじゃないかという怖れや、さらには年端も行いかない子供までを洗脳するようなやり方に我慢ならず、毎日悶々とした気分で生活していた。
さてあなたがそんな問題を抱えたとしたらどうしますか。
もちろん彼も、そのまま指をくわえて見ていたわけじゃない。
何度も奥さんに、そこを脱会するように勧めた。
しかし、いっこうにらちがあかない。
それではと、その団体の教義を猛勉強して、いかにそれが誤った教えなのかを説得しようとしたが、彼女のほうがずっと長く勉強しているので、いつも言い負かされてしまう。
もうどうにでもなれという気持ちにもなったが、せめて子供だけは連れて行かないように食い下がった。
まだ何もわからない幼い子供に、教義を教え込んで信者にするのはフェアーじゃない。
彼は涙ながらに訴えた。
ところがそれも聞き入れてもらえない。
子供もママと一緒にいるほうがいいと言い張る。
彼は悩みに悩んで、ついに行動に出た。
その団体に出かけて行ったんだ。
そして、いま家庭が崩壊しつつあるこの現状を訴え、なんとか脱会させてもらえないか頼み込むつもりだった。
命がけだった。
ところが反対に、お父さんも一緒に学ぶのが家庭の幸せにとって一番だと言いくるめられてしまう。
しかも、勇んで行ったその宗教団体の雰囲気はことのほか明るく、しかもそこにいる人達は人の良さそうな人ばかりだった。
自分の妻も子も、他の会員達と打ち解け、楽しそうにしている。
彼は完全に打ちのめされた。
いずれ世間にも知られることになるだろう。
そのような事態になれば、自分達家族の評判もどうなるか目に見えている。
もう妻は仕方がない。
でも子供だけは救ってやりたい。
彼は悩みに悩み、そして自殺さえ考えるまで追い詰められた。
そのような結果を見れば、父親が命がけで家族を守ろうとしたことを分かってもらえると思ったからだ。
さて、この男性を仮にAさんと呼ぼう。
このAさんの場合、「問題」はどこにあるのだろう。
そしてその解決策には何があるんだろう。
あなたはどう思いますか。
この話は「いまここ塾」でもしたことがあるので、知っている人もいるかもしれないけれど、もしあなたがAさんだったらどうするのか考えてみてください。
そしてどのような問題も、このAさんのケースと同じ共通点があるのです。
それは何でしょうか。
なんだか謎懸けのようになってしまいましたが、今日のところは問題提起にしておきます。
この話の顚末と解説はまた明日。